献身的なサポートで『裏方』に徹する職人

皆呂社長とは、社長が独立前に勤めていたテニス専門店からのつきあいだった。当時は学生で、卒業後はソフトウェア会社で契約アルバイト。だが、1993年、「naro」バドミントン店のオープンを機に、皆呂社長に声をかけられ、思いがけずnaroのスタッフとなる。

ストリングを張り続けろと言われれば、いつまでも張り続けられるというほど、地道な作業を苦とも思わない。とにかく「裏方が好き」という石田。長年、多くの選手たちを献身的にサポートしてきた功績が認められ、2018年にはヨネックスのオフィシャルストリンガーとして中国南京市で行われた世界バドミントン選手権などにも帯同。「海外での国際大会でストリングを張れたことは夢への第一歩」と語る。2020年には東京五輪も控えており、さらなる活躍が期待される。

すべての選手が勝てるわけではないが、いつでもどこでも、どの選手にも「勝ってほしい」という気持ちを込めて張る石田。今後もコミュニケーションをとった上でのストリンギングを目指す。「選手から指名されるストリンガーに」という目標のもと、これからも誠実な仕事をし続ける。

【文:スポーツライター 八木陽子(早稲田大学軟式庭球部出身) 写真:井出秀人】